2016年08月12日
がん最新情報Ⅰー胃がんとヘリコバクター・ピロリ
胃がんとヘリコバクター・ピロリ
胃がんの原因は何?
胃がんは幼少期に感染したヘリコバクター・ピロリ菌(以下H.P.)の持続感染が主要な原因と考えられています。胃がん患者さんの中で
H.P 陰性の人は1~3%とごくわずかだからです。(中島:胃と腸6号51巻2016年) H.P.感染率は10歳台で約20%ですが、40歳台
以上は約80%と高率です。胃がんになる危険性を減らすにはH.P.の除菌(内服薬で胃の中の菌を除去する事)が必要といわれています。
無症状のH.P.感染は除菌すべきか? 除菌でがんは本当に減るのか?
2014年の医学雑誌(B.M.J.2014,348:g3174)に日本を含む6つの研究の統合結果が発表されました。元気で、比較的健康な人を対象とした研究です。
結果は、胃がん発生は除菌群1.6%(51/3294)、無治療群2.4%(76/3203)で、除菌で34%リスクが低くなると示されました。
胃がんによる死亡は、除菌群1.1%(24/2242)、無治療群1.6%(36/2233)で明らかな差はありませんでした。
総死亡は、除菌群7.3%(192/2639)、無治療群6.7%(175/2614)で、除菌群で多い傾向でした。
この結果には幾つかの疑問点が指摘されました。最多症例数(2258人)の報告は、内視鏡を12.6%しかしていなかったり、単に記録を調べただけだったりと、胃がんの発症数が正確か疑われています。この1報告を除くと、発がん率や死亡率に差はないと指摘されています。(東京北医療センター 南郷、薬剤師のジャーナルクラブ 青島)
除菌したら胃がんにならないか
早期胃がんで内視鏡手術(粘膜下層剥離術)後除菌した患者のその後の胃がん発見率を中島の報告(前述)を見てみましょう。
結果は、3年追跡で8.4%(66/782)、5年(累積)で15%の発見率でした。除菌しても胃がんの発生は少なくないと言えるでしょう。
あなたは除菌を受けますか?
2013年から慢性胃炎でも除菌が保険でできるようになりました。岡山県真庭市は希望する中学2,3年生にH.P.の無料検査を始めています。検診やドックで陽性になり除菌を勧められることもあるでしょう。胃がん撲滅の旗印のもと、除菌は今や身近な事になっています。
今の段階では除菌によって胃がんの発症や死亡を減らせるかはっきりとわかりません。受けるかどうかは個人の判断です。ただ、除菌しても胃がんの発症は必ずしも少なくないので(特に胃がん既往者)、定期的な検査が必要なことを忘れないでいただきたいと思います。 (文責 篠原)
胃がんの原因は何?
胃がんは幼少期に感染したヘリコバクター・ピロリ菌(以下H.P.)の持続感染が主要な原因と考えられています。胃がん患者さんの中で
H.P 陰性の人は1~3%とごくわずかだからです。(中島:胃と腸6号51巻2016年) H.P.感染率は10歳台で約20%ですが、40歳台
以上は約80%と高率です。胃がんになる危険性を減らすにはH.P.の除菌(内服薬で胃の中の菌を除去する事)が必要といわれています。
無症状のH.P.感染は除菌すべきか? 除菌でがんは本当に減るのか?
2014年の医学雑誌(B.M.J.2014,348:g3174)に日本を含む6つの研究の統合結果が発表されました。元気で、比較的健康な人を対象とした研究です。
結果は、胃がん発生は除菌群1.6%(51/3294)、無治療群2.4%(76/3203)で、除菌で34%リスクが低くなると示されました。
胃がんによる死亡は、除菌群1.1%(24/2242)、無治療群1.6%(36/2233)で明らかな差はありませんでした。
総死亡は、除菌群7.3%(192/2639)、無治療群6.7%(175/2614)で、除菌群で多い傾向でした。
この結果には幾つかの疑問点が指摘されました。最多症例数(2258人)の報告は、内視鏡を12.6%しかしていなかったり、単に記録を調べただけだったりと、胃がんの発症数が正確か疑われています。この1報告を除くと、発がん率や死亡率に差はないと指摘されています。(東京北医療センター 南郷、薬剤師のジャーナルクラブ 青島)
除菌したら胃がんにならないか
早期胃がんで内視鏡手術(粘膜下層剥離術)後除菌した患者のその後の胃がん発見率を中島の報告(前述)を見てみましょう。
結果は、3年追跡で8.4%(66/782)、5年(累積)で15%の発見率でした。除菌しても胃がんの発生は少なくないと言えるでしょう。
あなたは除菌を受けますか?
2013年から慢性胃炎でも除菌が保険でできるようになりました。岡山県真庭市は希望する中学2,3年生にH.P.の無料検査を始めています。検診やドックで陽性になり除菌を勧められることもあるでしょう。胃がん撲滅の旗印のもと、除菌は今や身近な事になっています。
今の段階では除菌によって胃がんの発症や死亡を減らせるかはっきりとわかりません。受けるかどうかは個人の判断です。ただ、除菌しても胃がんの発症は必ずしも少なくないので(特に胃がん既往者)、定期的な検査が必要なことを忘れないでいただきたいと思います。 (文責 篠原)
Posted by みきちゃん at 14:45
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