2018年08月21日
がん最新情報ⅩⅩⅠ 大腸ポリープは切除した方がよいか
がん最新情報ⅩⅩⅠ 大腸ポリープは切除した方がよいか

大腸内視鏡検査を受けるとよくポリープが発見されます。大腸ポリープは腫瘍性(主として腺腫とがん)と非腫瘍性(過形成、炎症性、過誤腫性等)があります。腫瘍性はポリープの内約85%で、この内腺腫が60%近くを占めます。
この腺腫の問題は大きくなるとがん化する可能性がある事です。切除(ポリペクトミー)するかどうか、特に10mm以下の小さいものへの対応
は医療機関や医師によって異なっているのが現状です。
腺腫の大きさとがん化率
腺腫は大きいほどがんを伴う率が高い事は衆知の事実です。5mm以下では0.5%位と低いですが、10mm以上になるとかなり高率になります。
ポリープの大きさ がん化率
〉5mm 0.46%
6~9mm 3.3%
〈10mm 28.2%
Sakamoto(ColorectalDis2013;15)

日本のポリープ摘除の適応に関するガイドライン
5mm以下の隆起性病変は経過観察を提案するとし、6mm以上は内視鏡的摘除の適応としています。ただし、5mm以下でも平坦で陥凹を有するものや、がんとの鑑別が困難な病変は摘除を提案するとしています。(日本消化器病学会 大腸ポリープ診療ガイドライン2014)
この日本のガイドラインは支持する確かな研究結果(エビデンス)は不足していて、エビデンスレベルはC=「低い」、推奨の強さは「弱い」になっています。世界的にも腺腫の大きさ、組織学的特徴と長期的ながん発症のリスクの関係は明確になっていません。
10mm以下でも摘除する必要ない?報告
最近米国での大規模試験の結果が報告されました。(JAMA2018.May、15)
大腸内視鏡を受けた(がんでないとされた)1万5938人を15年追跡しました。この人々を①進行した腺腫(10mm以上、高度異型腺腫、乳頭状腺腫、絨毛腺腫)、②進行していない腺腫(10mm未満で①の組織でないもの)、③腺腫なし、の3つに分けて検討しました。

結果は、①はがん発症率比、大腸がん死亡率比共高く、③と有意差がありました。②は③腺腫なしとリスクに有意差がありませんでした。10mm以下でも組織型によっては摘除しなくてもあまり心配ないという報告です。
(但し①の高度異型腺腫は外国ではがんとしない意見が多いですが、日本ではがんとする意見が多いです。従って①にはすでにがんが含まれていた可能性があります。-篠原注ー)
もし10mm近くのポリープが見つかったらどうする?
現在10mm程度のポリープ摘除術(ポリペクトミー)は比較的安全に広く行われています。簡単に取れるなら取ってしまえば気分的にすっきりしますし、この後3年に1回位の検査で良いでしょう。
但し偶発症(出血や穿孔)のリスクは0ではありません。

がんになる率は低いので10mmを超える迄経過を見る選択肢もあります。この場合は1~2年に1回の検査が必要です。
いずれを取るかは主治医の先生に、ポリープの大きさ、組織型、がんの心配が無いか等よく聞いた上で決めましょう。
(文責 篠原)

大腸内視鏡検査を受けるとよくポリープが発見されます。大腸ポリープは腫瘍性(主として腺腫とがん)と非腫瘍性(過形成、炎症性、過誤腫性等)があります。腫瘍性はポリープの内約85%で、この内腺腫が60%近くを占めます。
この腺腫の問題は大きくなるとがん化する可能性がある事です。切除(ポリペクトミー)するかどうか、特に10mm以下の小さいものへの対応
は医療機関や医師によって異なっているのが現状です。

腺腫は大きいほどがんを伴う率が高い事は衆知の事実です。5mm以下では0.5%位と低いですが、10mm以上になるとかなり高率になります。
ポリープの大きさ がん化率
〉5mm 0.46%
6~9mm 3.3%
〈10mm 28.2%
Sakamoto(ColorectalDis2013;15)


5mm以下の隆起性病変は経過観察を提案するとし、6mm以上は内視鏡的摘除の適応としています。ただし、5mm以下でも平坦で陥凹を有するものや、がんとの鑑別が困難な病変は摘除を提案するとしています。(日本消化器病学会 大腸ポリープ診療ガイドライン2014)
この日本のガイドラインは支持する確かな研究結果(エビデンス)は不足していて、エビデンスレベルはC=「低い」、推奨の強さは「弱い」になっています。世界的にも腺腫の大きさ、組織学的特徴と長期的ながん発症のリスクの関係は明確になっていません。

最近米国での大規模試験の結果が報告されました。(JAMA2018.May、15)
大腸内視鏡を受けた(がんでないとされた)1万5938人を15年追跡しました。この人々を①進行した腺腫(10mm以上、高度異型腺腫、乳頭状腺腫、絨毛腺腫)、②進行していない腺腫(10mm未満で①の組織でないもの)、③腺腫なし、の3つに分けて検討しました。

結果は、①はがん発症率比、大腸がん死亡率比共高く、③と有意差がありました。②は③腺腫なしとリスクに有意差がありませんでした。10mm以下でも組織型によっては摘除しなくてもあまり心配ないという報告です。
(但し①の高度異型腺腫は外国ではがんとしない意見が多いですが、日本ではがんとする意見が多いです。従って①にはすでにがんが含まれていた可能性があります。-篠原注ー)

現在10mm程度のポリープ摘除術(ポリペクトミー)は比較的安全に広く行われています。簡単に取れるなら取ってしまえば気分的にすっきりしますし、この後3年に1回位の検査で良いでしょう。
但し偶発症(出血や穿孔)のリスクは0ではありません。

がんになる率は低いので10mmを超える迄経過を見る選択肢もあります。この場合は1~2年に1回の検査が必要です。
いずれを取るかは主治医の先生に、ポリープの大きさ、組織型、がんの心配が無いか等よく聞いた上で決めましょう。
(文責 篠原)
Posted by みきちゃん at 14:51
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