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みきちゃん

2018年05月04日

がん最新情報ⅩⅨ ーロボット手術の現状と今後ー

がん最新情報ⅩⅨ ーロボット手術の現状と今後ー
がん最新情報ⅩⅨ ロボット手術の現状と今後

emoji33ロボット手術とは何か
米国のインテュイテイブサージカル社が開発したダヴィンチと呼ばれる装置を用いて内視鏡下手術を支援する手術をいいます。鉗子類を遠隔操作するユニット(写真左)と鉗子とカメラを備えたユニット(右)からなります。
がん最新情報ⅩⅨ ーロボット手術の現状と今後ー


     ダヴィンチサージカルシステム
従来の内視鏡下手術と違うのは、鉗子を曲げたり回転させたりできたり、術者の手振れを補正する機能があったりで、より細かい操作が可能です。

emoji33保険適用が一挙に拡がる
ロボット手術は2014年に「前立腺全摘出術」が、2016年に「腎部分切除術」が保険適用になっていました。
今年(2018年)4月に次の12の手術が一挙に保険適用になりました。

呼吸器分野ー肺悪性腫瘍 縦隔腫瘍(良性、悪性)
消化器分野ー食道悪性腫瘍 胃切除術 噴門側胃切除術 胃全摘術 直腸切除術
泌尿器分野ー膀胱悪性腫瘍
婦人科分野ー子宮体がん手術 膣式子宮全摘術
循環器分野ー弁形成術

emoji33ロボット手術の有益性はあるか
前立腺全摘出術は出血量や在院日数が他より少ないと報告されています(J.Endourol.2014:24)。又、断端陽性率(切除した組織断端にがんがある率)が低い、尿漏れ等の合併症が少ないデーターが示されていました。腎部分切除は断端陽性率は0%で、従来の腹腔鏡手術の1.7%より低いことが報告されました(先進医療*約100例の結果)。これらの有益性により両者にはロボット支援機加算がつきました。このこともあって前立腺全摘術はロボット手術が主流になっていますし、腎部分切除も急増しています。
胃がんのロボット手術は先進医療*として数年来15施設で臨床試験が行われてきました。ステージⅠ、Ⅱの330例の胃切除術の合併症発生率は2.45%で、従来の腹腔鏡手術の6.4%より有意に低いと報告されました。2017年に40例の胃がんロボット手術を行った藤田保険衛生大学の宇山氏は、「重度の合併症を起こすような難易度の高い手術でもロボット手術で安全にできる。」と述べています。
呼吸器分野ではロボット手術の有益性が示されていないため殆ど行われていません。婦人科分野や循環器分野も同様です。
*先進医療 医療に関わる技術料は自己負担だが検査・薬・入院料は保険が使える

emoji33今後普及するかーハードルは高い?
ダヴィンチの導入数は2017年末で280台です。(ちなみに米は2500台)導入には多額の費用がかかります。1台2~3億円しますし、鉗子類は1回30万円、保守費用は年約2500万円必要です。今回追加された12の手術には内視鏡手術と同じ点数で加算はありません。従って手術を多くするほど採算は悪くなります。
さらに、厳しい施設基準(経験医師数や年間施行数等)や、術者を養成する問題もあります。
今後急速に普及するとは考えにくい状況ですが、有益性がさらに積み重ねられてロボット手術の加算がつくようになれば普及が加速する可能性があると思われます。
                                                              (文責 篠原)







Posted by みきちゃん at 15:22
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