2017年09月18日
がん最新情報ⅩⅢ 遺伝子検査でがん発症はどれ位判るか

がん最新情報ⅩⅢ 遺伝子検査でがん発症はどれくらい判るか
がんの遺伝子検査や治療への応用(ゲノム医療)が日本でも盛んになってきました。ここ3~4年個人向けの遺伝子検査サービスが急増して、インターネット(所によっては一般店舗)で簡単に購買できます。
しかし、どれだけがん発症を予測できるのか?、結果は信用できるか?、どの商品を選んだらよいか?等々悩まれる方は少なくないでしょう。
詳細はサイトを見てよく比較、検討する必要があります。

商品名 解析項目 検体 価格
①Mycode(マイコード) 病気、体質等約280項目 唾液 29800円
(がん38項目 唾液 14800円)
②GeneLife(ジーンライフ) 病気、体質等約360項目 唾液または口腔粘膜 29800円
③HealthDataLab 病気、体質等約290項目 唾液 29800円
④Cancer-Plus がん36項目 唾液 50000円
①②③は非常に多くの項目を解析します。各種がんの他、高血圧、糖尿病、心筋梗塞等の成人病、アルコール耐性、肥満、薄毛のリスクといった体質も総合的に解析します。
結果の報告は大体「あなたの〇〇がんの発症リスクは〇〇倍です」、といったように表示されます。この数字は自分と同じ遺伝子型を持った人達の傾向を表すもので、その人個人の発症リスクを示すわけではありません。1.5倍と出たら日本人の平均や最もリスクの低い人に比べて1.5倍がんになりやすいということになりますが、実際になるかどうかは解りません。

消化器がんマイクロアレイ血液検査
血液でmRNA(メッセンジャーRNA)を解析して、胃、大腸、すい臓、胆道がんを判定します。がんが小さい内は上昇しない腫瘍マーカーに比べて早期から陽性になるため、早期発見に有力です。感度*は98.5%、特異度**は92.9%と高精度です。価格は78000円です。
検査を受けられる医療機関は、「マイクロアレイ血液検査ー受託検査サービス 株式会社キュービクス」を検索して下さい。
*がん患者をがんと判定する確率
**がん患者以外をがんでないと判定する確率
CanTect(キャンテクト)
全てのがんを網羅的に早期に判定する検査で、部位は特定できません。リスクはA(健常者45%、がん5%位)からD(健常者5%、がん45%位)の4段階で表示されます。医療機関は「http://www.genescience.jp/提携医療機関一覧」を検索して下さい。

まず、自分は何を知りたいか、何を目的に検査するのかが大切です。
①②③の多項目検査は病気予防や生活習慣の見直しの参考になります。がん発症の予測には弱いですが、予防管理や高リスクのがん検診を受けるモチベーションを高めることになるでしょう。
マイクロアレイやCanTectは(特定の)がんに不安の大きい人や、がん家系(家族にがんが多い)の人にお薦めです。
がん発症のリスクを高率に予測できる検査はまだ少なく限られています。今後の研究で向上していく事を期待しましょう。
(文責 篠原)