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みきちゃん

2016年12月04日

がん最新情報Ⅳー肺がん検診は今のままで良いかー

がん最新情報Ⅳ 肺がん検診は今のままで良いか

emoji33肺がんは死亡数で1位
日本の肺がんは増え続けていて、平成12年以後死亡数はがんの中で1位です。喫煙歴の無い女性にも多いのです。次表のように2016年の予測でも新規患者数は3位、死亡数は1位です。患者の内57.8%もの人が亡くなります。胃がんの36.2%、大腸がんの35%に比べてかなり高い死亡率です。

    肺癌予測数(国立がん研究センター 2016年)
     新規患者数     死亡数     死亡率
  男性  90600   55200    60.9%
  女性  43200   22100    51.2%
   計  133800    77300    57.8%  


これは、早期発見が難しく、進行した段階で発見される例が多いことにも原因があるようです。発見時、早期の0~Ⅰ期(肺内で大きさ5cm以下、リンパ節転移なし)は40%ですが、Ⅲ~Ⅳ期(肺外に拡がり、遠いリンパ節や臓器に転移)は47%と約半分に昇ります。
全体の5年生存率39.5%、10年生存率33.2%という低さに予後の悪いことが現れています。肺がんはまだ完治のなかなか難しいがんと言えます。

emoji33肺がん検診の現状と課題
今日本の住民検診は胸部X線(一部検痰併用)が行われています。日本で行われた研究で死亡率減少効果が認められたことが根拠ですが、欧米での試験では認められず、日本だけのようです。
楠本氏(国立がん研究センター)は、X線検診の限界を指摘して楽観視を戒めています。「肺がんがあると判っている複数者による画像読影で平均26%の見落としがあった。」論文を基に、「誰が読んでも見落とすがんがある」と述べ、「毎年検診を受けていれば早期に見つかる」 「検診で異常ないからがんではない」は誤解で、限界があることを理解する必要があるとしています。(日本放射線学会 2016年)
検診発見のがんでもⅠ期は30%位にすぎず、5年生存率は75%に留まっていることに、専門家の嘆きと忸怩たる思いを感じます。

emoji33低線量CTが薦められている?
このように現在のX線による検診は肺がん死の低減に不十分として、CTを薦める意見が多くなってきています。人間ドック等では行われてきましたが、住民検診ではその有効性が不確実として殆ど行われていません。
しかし、2011年に発表された「全米肺検診試験」はCT検診の有益性を広く知らしめました。これは55歳~74歳のヘビースモーカー5万3454人を無作為にX線群とCT群に分けた大規模なものでした。その結果、精密検査が必要な人はCT群24.2%、X線群6.9%、10万人年あたりの死亡数はCT群247人、X線群309人で、CT群で死亡率が20%低かったとしています。これに基ずき米国癌協会は2013年、ヘビースモーカーの高リスクの人や、禁煙して15年以内の人に毎年のCT検診を推奨しました。
この試験の問題点として、要精検率が24.2%と高く(日本では5%以下の報告が多い)、結果として無駄な精検を受けた人が多かったことが指摘されています。
emoji33低線量CTって何?
受診者の被曝線量はX線(1枚)で0.1ミリシーベルト(mSv)、一般のCT検査で6~10mSvです。最近のCTにはX線出力や管電流を管理コントロールする装置が付いていて、解像度を落とさずに1~1.5mSvで撮影できます。これでもX線の10倍ですので、さらなる改良が望まれます。

emoji33日本のCT検診
日本でも自治体が費用を補助して行っている所があります。鹿児島県、和歌山県、日立市、北海道上川町などです。
鹿児島県の平成22年~24年度の集計結果を見てみましょう。
延総受診者17281人、要精検者2294人(要精検率13.3%)でした。この内59人にがんがみつかり(がん発見率0.34%)、41人(69.5%)がⅠ期の早期がんでした。
これと平成19年~23年度のX線検診との比較です。

       受診者数    がん   がん発見率
 X線  709742人  374人  0.05%
 CT   17281人   59人  0.34%
 

CTはX線に比べて6.8倍がんが発見されました。

emoji33これから肺がん検診はどう受ける
CTにより小さいがんが多く見つかることは明らかで、死亡率の減少が期待されます。しかし、小さい影が見つかったとしてもがんと必ずしも診断できるとは限りません。辛い精検(肺生検ー気管支鏡や体表から細胞を取って調べるー等)を何回もしたり、“がんかもしれない”不安をかかえながら経過をみる場合もあるかもしれません。
一方、X線では専門家も認めているように、見逃しがあることを知り、ある程度のリスクを覚悟しなければなりません
それではどうしたら良いでしょうか。私はヘビースモーカーや40歳以上で血痰が出た人はCTとX線を交互に受けるのも一方法かと思います。(最初のCTで異常が無かったことが前提です。)被曝量が多くならないようにと、急速に進行するがんがあることを考慮してです。
      決めるのは貴方自身ですよ!!
                      (文責 篠原)
       

Posted by みきちゃん at 15:33
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