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みきちゃん

2018年03月05日

がん最新情報ⅩⅧ 前立腺がん検診(PSA)は受けたほうがよいか

がん最新情報ⅩⅧ 前立腺がん検診(PSA)は受けたほうがよいか


がん最新情報ⅩⅧ 前立腺がん検診(PSA)は受けたほうがよいか

2017年10月に日本泌尿器科学会が「前立腺がん検診ガイドライン2018年版」を出しました。これまで同様PSA検診を推奨する内容になっています。
応答集の大事な部分を中心に記しますので、受診するかどうかの参考にしていただきたいと思います。(当ブログ2016年10月投稿の「前立腺がんとPSA]もぜひご参照下さい。)

Q PSA検診の有益性は証明されていますか?
A いずれも2009年に発表された欧州の大規模なERSPC研究では死亡率が20%低下で有益としたのに対し、米のPLCO研究は有益なしとしてこれ迄賛否両論がありました。この二つの研究の新しい解析結果が最近発表されました。ERSPCで25~31%、PLCOで27~32%とほぼ同様の死亡率低下が示されました。(AnnalsofInt.Med.2017;9)

Q 日本の前立腺がんは増えていますか?
A 年々増加しています。2012年は73000人余りで男性がん4位でしたが、2016年は92600人で1位になると予測されています(国立がん研究センター)。年齢別(粗)罹患率は、45歳以下24人 /10万人に対して、75歳~79歳555人/10万人です。高齢者に圧倒的に多いがんで、高齢化が一番の原因と考えられています。
Q 検診開始年齢はいつがよいですか?
A 50歳を推奨しています。スウエーデンの研究で50歳~54歳で有意な死亡率低下が証明されています。
Q PSAがどの位の値で気をつけたり、精査を受けたらよいですか?
A 全年齢で4.0ng/mlとしています。しかしこれ以下の2950例の生検で15.2%にがんが発見された報告があります。(N.Engl.J.Med.2004;350)そこで年齢階層別カットオフ値も推奨されています。50~64歳3.0、65~69歳3.5、70歳以上4.0としています。
Q 検診は毎年受けなければいけませんか?
A PSA値が1.1~カットオフ値(前項)の場合は毎年が奨められています。1.0以下は3年に1回で良いとしています。
Q 検診で発見されたがんの予後は良いのでしょうか?
A 日本の252市町村の456613人の集計(2001年~2005年)では、限局性がん(がんが前立腺内のステージⅠ、Ⅱ期)の率は75.5~78.4%、転移がん(Ⅳ期)5.5~6.5%でした。横浜での2001年~2010年の検診発見がん524人の転移率6.1%に対して検診外発見がん1044人では17.3%と高値でした。又10年がん特異生存率は97%、86%で有意な差がありました。
Q 受診する利益と不利益は?
A 主な利益は進行がん、転移がんへの進展抑制と、死亡率が低下することです。又早期発見によって多くの治療法から侵襲性の少ない治療法の選択が可能になります。
不利益は検診で発見できないがんがあること、PSAの偽陽性があること(ERSPCではPSA上昇で生検を施行した76%にがんが検出されなかった)、不必要な生検が増加したり、過剰治療のリスクが増加すること等です。

PSAがカットオフ値以上だからといって生検を必ず受けなければならないというわけではありませんし、がんが必ず見つかるわけでもありません。生検しか確定診断の手段が無い現在、一般的な検査の普及や精度から考えると、PSAが高めで年々上昇する場合は生検を考慮した方が良いと私は思います。
大切なのは利益、不利益を考えてご自身の希望によって受診すべきか決めるということでしょう。
                                                                           (文責 篠原)




Posted by みきちゃん at 17:05
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